子ども連れの伊勢、宿は「一日のリズム」で選ぶ ― 午後から翌朝までの組み立て

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こんにちは、あいです。

夏休みも後半に入りました。この時期の伊勢は、参道でも駅でも、小さいお子さん連れの家族をよく見かけます。おじいちゃんと外宮のほうを歩いていたときも、日傘の下でぐったりしている子と、その子を抱え直しているお父さんとすれ違いました。

家族連れの宿選びというと、まず「何人で泊まれるか」「部屋は広いか」を見ると思います。それも大事なのですけど、在住者として見ていて思うのは、**伊勢の家族旅行を分けているのは、部屋の広さより「子どもの一日のリズムに宿が合っているか」**だということです。

あい:宿の条件を調べている

今回は、午後のチェックインから翌朝の出発までを時間の流れで追いながら、どこで宿の差が出るのかを整理してみました。

前提:伊勢の参拝は、子どもにとって「歩く行事」

神宮の参道は玉砂利です。内宮なら宇治橋から御正宮まで片道20分ほど。大人には気持ちのいい距離ですが、子どもにとっては足が取られて進めない道が延々と続きます。ベビーカーの車輪も、玉砂利の上ではまったく転がりません。神宮司庁の公式サイトにはバリアフリールートの案内が出ているので、出発前に見ておくと安心です(出典: 神宮司庁公式サイト「参拝について」)。

つまり、子ども連れの伊勢は、参拝そのものが体力を使う行事です。だから宿は「泊まる場所」ではなく「体力を戻す場所」として選ぶことになります。

午後:チェックイン時刻の1時間が、あとを決める

まず見てほしいのが、チェックイン開始時刻です。15時からか16時からか。大人だけなら誤差みたいなものですけど、小さい子がいると、この1時間はかなり大きいです。

午前に参拝して、お昼を食べて、子どもが眠くなるのが14時から15時ごろ。ここで部屋に入れれば昼寝をさせて夕方からもう一度動けます。入れないと、眠いのに眠れない時間が続いて、夕方には家族全員の機嫌が下がっていきます。

  • チェックイン開始時刻(15時開始だと午後の選択肢が増える)
  • アーリーチェックインの可否(有料でも受けている宿があります)
  • チェックイン前の荷物預かりと、待てる場所があるか

3つめは地味ですが効きます。荷物を預けて身軽に参拝できれば午前がまるごと楽になりますし、逆に大荷物で玉砂利を歩くと、それだけで午前が終わります。雨の日はこの「部屋以外の居場所」がさらに効いてきます(雨の日に過ごせる宿の4つの条件)。

夕方:お風呂を「何時に、誰と」入るか

次がお風呂です。大浴場は気持ちがいいのですけど、子ども連れだと事情が違ってきます。親ひとりで性別の違う子を連れて行けるか、泣いたときに気を遣わずにいられるか、そもそも子どもが怖がらないか。

近所の人が、下のお子さんが2歳のときに大浴場で大泣きして、その旅行中いちどもお風呂をゆっくり使えなかったと話していました。それを聞いてから、見るところが変わりました。

  1. 貸切風呂・家族風呂があるか(事前予約制か当日受付かも確認したいところ)
  2. 部屋にお風呂が付いているか(大浴場が使えなかった日の保険になります)
  3. 大浴場の営業時間に幅があるか(清掃で昼間に閉まる宿は多いです)

貸切風呂は夕食前後から埋まっていきます。チェックイン時に予約する宿だと、到着が遅いほど選べる時間が減る ― ここも午後の話とつながっています。

おかげ横丁の街並み

出典: Brakeet, Wikimedia Commons / CC0

夜:夕食の「開始時刻」と「子どもの分」

夕食は、内容より先に開始時刻を見てほしいです。旅館の夕食は夜の早い時間に始まることが多く、子どもの生活時間と相性がいいですし、待ち時間がないぶん外食より楽でもあります。

一方で、内宮周辺のお店は17時前後には店じまいが進みます。子ども連れで、お腹をすかせた状態で店を探して歩くのは、いちばん避けたい展開です。

  • 夕食付きプランにする(二見や鳥羽方面の宿は、もともとこの形が基本です)
  • 伊勢市駅・宇治山田駅の周辺に泊まる(夜も開いている店とコンビニが徒歩圏)

あわせて確認したいのが、子ども用の食事があるか、アレルギーに対応してもらえるか、取り分け用の小皿を出してもらえるか。宿によって差はありますが、聞けば教えてもらえることです。

寝る:布団が家族向きなのには理由があります

和室と洋室のどちらがいいかは好みですが、小さい子がいるなら布団のほうが扱いやすいのは、けっこうはっきりしています。ベッドから落ちる心配がなく、人数に合わせて枚数を調整でき、昼寝のときに一組だけ敷いておける。洋室でも、ベッドをくっつけてくれる宿やベッドガードを貸してくれる宿があります。

もうひとつ見ておきたいのが部屋の配置です。同じ人数でも、一間の広い部屋と二間続きでは、子どもが寝たあとの過ごしやすさがまるで違います。寝かせてから大人が話したいなら、次の間がある部屋を探す価値があります。

朝:5時開門を、使うか使わないか

あい:夏の暑さにまいっている

神宮の参拝時間は季節で変わり、神宮司庁公式によると5月から8月は午前5時から午後7時までとされています(出典: 神宮司庁公式サイト「参拝について」)。

夏は日中の暑さが厳しいので、大人だけなら「早朝に参拝して、暑くなる前に戻る」が最適解です。ただ、子ども連れだと話が変わります。前日に歩き回って遅く寝た子を翌朝5時に起こして玉砂利を歩かせる ― これはあまりうまくいきません。早朝参拝に無理に合わせるより、朝食の時間に幅がある宿を選んで、7時でも8時でも動けるようにしておくほうが、結果的にうまく回ります。

早く動ける日は早く出て、そうでない日は無理をしない。その両方ができる宿が、家族連れには合っています。

おじいちゃんの「子どもは砂利の音を覚えて帰る」

あい:縁側でおじいちゃんと話す

先週、おじいちゃんとお茶を飲みながらこの記事の話をしたら、こんなことを言われました。

「宿の善し悪しはあるやろけどな。子どもが覚えて帰るのは、たいてい建物やない。石段とか、砂利の音とか、川の冷たさとかや」

おじいちゃんは、子どもの頃に五十鈴川の御手洗場で手を浸けたときの水の冷たさを、いまでもはっきり覚えているのだそうです。何十年も前のことなのに、そこだけ妙に鮮明なのだと。

だから宿は、その体験を持って帰らせるためにある、と話は続きました。歩き疲れた足を伸ばして、ごはんを食べて、ぐっすり眠らせる。それができれば、記憶に残るのは川の冷たさのほうになる。宿が合っていないと、残るのは疲れたことのほうだ ― と。

……あたしはその話を聞きながら、去年おじいちゃんと歩いたときに途中でへばって御手洗場に座り込んだことを思い出していました。子どもの話をしていたはずなのに、なんだか自分のことを言われている気がして、ちょっと黙ってしまいました。

まとめ ― 「広さ」より「時間」で選ぶ

見るところを、時間の流れでもう一度並べます。

  1. 午後: チェックイン開始時刻・アーリーチェックインの可否・荷物預かり
  2. 夕方: 貸切風呂/部屋風呂の有無・大浴場が使える時間帯
  3. : 夕食の開始時刻・子ども用の食事とアレルギー対応
  4. 就寝: 布団か/ベッドガードの貸出・次の間の有無
  5. : 朝食時間の幅・参拝先までの所要時間

どれも予約サイトを読むか、電話で一度聞けば確認できることです。逆に言えば、星の数と写真だけでは、ここは全部わかりません。

家族での伊勢は、行ける場所は減りますが、そのぶん一つひとつが濃くなります。宿がその時間を支えてくれれば、子どもが持ち帰るのは「疲れた」ではなく、砂利の音や川の冷たさのほうになるはずです。エリアごとの特徴はおかげ横丁周辺の宿選びのコツにまとめてあります。

それでは、よい家族旅行を。あいでした。